共謀罪

先月28日、衆議院法務委員会で「共謀罪」が強行採決されるかも?との動きがあり、我々参議院法務委員も事実上の「禁足」でした。その日の午後5時からは、民主党主催「共謀罪」反対院内集会が開催され、私も、菅直人代表代行や、江田五月参議院議員会長、松岡徹参議院議員、那谷屋正義参議院議員らの挨拶の後、次のように訴えました。

「耐震偽装の姉歯さんは、名義貸しで逮捕されました。イーホームズは見せ金、つまりは資本金が足りないという容疑です。鉄筋が足らないとか、ウソの設計図を作ったとか、デタラメな検査をしたという容疑ではありません。捜査機関が何かに無理矢理にこじつけても、裁判所は逮捕を認めてしまう。「別件逮捕」が罷り通り、誰もおかしいと言わない。
 チカンで捕まっても、自白したらすぐに釈放され、「自分はやっていない」と否認したら、真実無実であったとしても、自白するまで、あるいは裁判が事実上決着するまで保釈を認めない、「人質司法」と呼ばれる、お寒い司法の現状があります。
 「別件逮捕」と「人質司法」に、相談しただけで犯罪が成立する「共謀罪」を追加してしまったならば、警察や検察の思いこみ次第で誰だって逮捕され、犯罪者にでっち上げることができてしまう。その結果、恐ろしい警察国家、監視国家が出来上がってしまう。
私は、法律家のハシクレとして、共謀罪は絶対に反対です。」

 私はテロ対策に反対するつもりはありません。テロの事前抑止は重要です。それ故、私たちは、この共謀罪の適用要件として、例えばアルカイダとか、オウムのように「組織的犯罪集団」に限定すべきだと提案しています。
 これに対して、例えばサラリーマンのAさんとBさんが、帰宅途中の居酒屋で、上司のことを「アイツは許せない」、「そうだ、やっつけてしまえ」と愚痴をこぼしたとしても、処罰する必要があるでしょうか?全くないはずです。
 それにもかかわらず、政府提出の法案ではAさん、Bさんに傷害罪、あるいは運用次第では殺人罪の「共謀罪」が成立してしまいます。本当にこれでいいのでしょうか。
 政府提出の法案では619もの、新しい犯罪が一挙に作り出されます。
 しかも、政府提出の法案では、Bさんが翌朝、警察に駆け込み、「昨夜、Aさんと共謀しました」と「自白」したならば、Aさんだけが有罪となり、Bさんは無罪になります。ですから、この「自白免責」を悪用して、でっち上げの密告をすることで、誰でも犯罪者に陥れることが可能になります。
例えば、Cさんが、競争相手のDさんを失脚させるために、本当は何も「共謀」していないのに、警察へ「Dさんと共謀しました」とウソの「自白」をして、駆け込めば、Dさんは逮捕されてしまい、挙げ句の果てに刑務所ということになりかねません。その陰で、Cさんは、「自白免責」のお陰で、Dさんを失脚させて、高いびきです。時代劇の悪代官と高利貸しがそのまま登場しそうなシーンですが、現実の社会には黄門様はいらっしゃいませんし、現実の裁判官は、金さんと違って何もかもお見通しではありません。
 さらに問題なのは、「共謀」の証拠は、通常の場合、自白以外にはありません。警察が犯罪捜査に熱心であれば、熱心な程、密室での拷問的な取り調べを助長しますし、何と言っても、「言った」、「言わない」ですから、裁判でも「真実」が明らかにならない可能性が大きくなります。
 「共謀罪」は、警察国家、監視社会、密告社会を作り出す、とんでもない法案です。
 
 もっとも、与党は衆議院で3分の2を越える議席を有しています。ですから、私たちの反対は、確かに蟷螂の斧かも知れません。
 それでも、今、この時に国会に議席置く者として、私には、国民の皆様方に対して「共謀罪」の危険性を訴える続ける責任があります。
 そして、国民の皆さんが「共謀罪」の危険性を認識して頂き、世論が動けば、この法案を阻止することができるはずです。
 5月8日からの週に、「共謀罪」は衆議院通過の山場を迎えます。与党は強行採決も厭わない様子です。
 今月、私たちは、成立阻止に向けて、一致団結して活動します!
【前川きよしげ本人が書いています】